【本】下り坂をそろそろと下る

平田オリザさんの著書「下り坂をそろそろと下る」

国境を越えて演劇活動を展開する劇作家、平田オリザさんの著書です。


イントロダクション

タイトルの「下り坂」は、今の日本の状況を意味し、「そろそろと下る」は、私たち日本人の取り組み(生き方)を表現しています。 一体、どういうことかを知りたくて、本書を手に取りました。

平田オリザさんの著書「下り坂をそろそろと下る」

下り坂をそろそろと下る
著者 :平田オリザ
出版社:講談社現代新書

本書の内容

著者の平田さんは、劇作家です。 劇団で戯曲や演出を担当し、韓国と共同で演劇をするなど、国境を越えて演劇活動を展開しています。

冒頭から、驚き&納得の内容です。 「スキー人口はなぜ減ったか」という問いについて、日本の観光学者たちからは「少子化だからスキー人口が減った」という声が出ますが、平田さんは逆に、「スキー人口が減ったから少子化になった」と主張します。 過去20年間で、スキー人口は70%近く減りましたが、若者(29歳以下の人口)は25%の減少だからです。

かつて20代男子にとって、スキーは、女性を一泊旅行に誘える最も有効で健全な手段だった。それが減ったら、少子化になるに決まっている。当たり前のことだ。

スキー人口の減少は、少子化も影響していますが、若者はスキー人口ほどは減っていないわけで、他にも原因があると考えられるんですね。

また、平田さんは、大学教員を15年以上務めていますが、学生たちは口を揃えて「地方はつまらない。だから帰らない」と言うそうで、「地方には雇用がないから帰らない」という学生には、ほとんど会ったことがないのだとか。

一方、地方に住む女性たちは口を揃えて「この街には偶然の出会いがない」と言うそうです。 だから、文化的な施設(映画館、ジャズ喫茶、ライブハウスなど)を作って、偶然の出会いが生まれるきっかけを、そこかしこに潜む街を創ればいい(文化的な側面に目を向けた少子化対策が必要では?)と、平田さんは主張します。

そして、日本人は3種類の寂しさ(
 日本はもはや工業立国ではないこと、
 成長はせず、長い後退戦を戦わなければいけないこと、
 日本はアジア唯一の先進国ではないこと、
)を受け止め、受け入れなければいけないとも主張します。

本編では、文化に力を入れて活気づく地方や、先進国入りしながらそれを実感できない韓国など、多方面な話題が展開されます。

本書の感想

高度経済成長が終わり、成熟した日本のあり方について、「日本に再び経済成長を!」という声が、飛び交っています。 でもそれは、本当に、現実を冷静に見た上での話なのでしょうか?

日本は今、過去の過ちを、再び犯しかねない状況です。 それを未然に防ぎ、平和な方向に落ち着かせるには、現実(日本の現状と、日本人のマインド)をしっかりと見つめる必要が、あるのかもしれません。

平田オリザさんの著書「下り坂をそろそろと下る」

下り坂をそろそろと下る
著者 :平田オリザ
出版社:講談社現代新書


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